2004-12

2004-12-25

「稲中の前野に憧れていたんだ」男前の彼はぼそっと呟いた。そして僕に哀願した。 「頼む、今日だけでいい。僕と一緒に死ね死ね団を結成してくれないか」 彼は学年一のモテ男で僕の幼馴染である。しかし彼の聖書的バイブルは「それいけ!稲中卓球部」であり、 明らかに彼のイメージは木之下なのだがあろうことか前野に心酔していた。僕は木之下的な人生を謳歌したいと 願う一青年である。しかし僕のイメージは風貌から明らかに前野である。それで彼は僕を尊敬の眼差しで見ていた。 明らかに恋人同士の敵となる死ね死ね団。結成しても何のメリットもない。しかし彼はどうしても着ぐるみが着たいと 僕に言った。彼は僕の中でも限りなく大切な友達である。彼のお陰でモテグループの一員にいるようなものである。 仕方がない。 「いいよ。今日だけだよ。でも本当にいいのかい。今日はどんな日か知っているの」 「知っているさ。今日だからさ。今日じゃないといけないんだ。今日やらなければ僕はユダになっちゃうよ」 僕らは街中に繰り出した。彼は前に僕がデパートで買ったモグラのつなぎを満足そうに着て、街中のカップルにドロップキックを かましていた。 「お前ら、キリスト信者なのか、ゴラァ!!」 罵声が響き渡る。彼は一通り辺りのカップルにドロップキックをかますと満足そうな顔をしていた。 「お願い、最後にこれだけをやらしてくれないか」 彼はおでん屋台の横でいきなり寝転んだ。 「はんぺん超好きーーーーーーー」 「はんぺん超好きーーーーーーー」 辺りにリフレインするそのフレーズが物凄いインパクトを打ち出していた。そこに一人の女が声をかけてきた。 「私が食べさせてあげる」 彼はその女性について行き夜の街に消えて行った。そして僕のクリスマスは幕を閉じた。

2004-12-26

「オラオラ」これが僕の友人のセックスの表現である。もう少し深く言えば、「で、最近オラオラやらしてもらっているの?」 このような使い方をするわけなのだが、これは彼がうっかり口を滑らしバックの体位は「オラオラオラオラってイメージかな」と 言い放ったことからきている。そこから僕たちは派生させ「オラオラオラオラ、お前ら無駄無駄無駄無駄」とこのカップルをなじる ことにしている。で昨日僕らのグループの彼女いない奴ら(通称死ね死ね団)で飲みに行った後、彼の家にクリスマスプレゼントとして ザ・ベストとティッシュと鏡餅をそっとドアノブにかけておいた。ささやかな彼へのプレゼントである。これは100%事実である。 僕らは実際仏教徒ですから。関係ない。離脱できるの、この世と。あと言いたいことは僕の街にはスターインというラブホテルがある のだが、彼らには「あ、あれか、今からスターインプラチナか。スターインプラチナばっかするんちゃうぞこら、ボケ」と言ったりする。 言いたいことそれだけ。ジョジョフリークが多いね、周り。

2004-12-28

「今日はいいものを見させてもらった」「思春期だね」番組に寄せられる投稿は好意的なものばかりだ。 思春期、自分の若い頃のいつからはじめたんだったけっと世の中の男性はこの番組を見て振り返った。

『初めてのお弄り』タイトルそのままである。世の中の自慰は二パターンあると司会の草野さんは小気味のいい会話で話す。 「最初のパターンは情報を得るパターン。これは成人雑誌、世に言うエロ本やお父さんからの会話やお母さんとの行為もそうですね。 もう一つのパターンは本能で動くパターン。これはマイセルフ、自分自身で目覚めて、陰部を弄ることを気持ちいいと理解すること によって起こる。こちらのパターンは結構難度は高くて、こちらで『初めてのお弄り』をした方は将来的にかなりの好き者になる人 が多いですね」草野さんの説明が一通り終わり、VTRが流れ出す。ナレーションはみのさんである。「おっと今日とうとうやるのです ね。お、ベットの下には、あーお父さんのエロ本。いつ見つけたのでしょうか。周りをチラチラ伺っています。かわいいですね。 ここに隠しカメラがあるのにね。彼はどうもあれですね、情報を得るパターンですね。おおおお、弄りだしました。あれ、パンツは 脱いでない。どうもモノをださないで、パンツの中で試しているようですね。あ、顔の表情が少しトローンとしてます。あああ、あ、 しまったという顔をしていますね。どうも中で出しちゃったようです。これはお母さんに怒られるぞぉ」そして、この後に彼がインタビュー されていた。「えと、はい、前もって情報を得て、こうやったら気持ちいいって聞いて。え、初めての感想? (顔を赤くして)気持ちよかったです」

この番組が放送されて、今までイメージが悪かった自慰行為が世の中に感動を与えたのは言うまでもない。

2004-12-29

つぶたっぷりコーンクリームポタージュとかそういうスープ系にお湯を注ぐ時、かなりの葛藤が僕には生まれる。 「お湯を少しにしたら味は濃厚でおいしいよな、いやまてよでもそれじゃああれだろ、量が少ないよな。やっぱり 多めに注いだほうがよくなぁーい。でもなぁそれじゃあ薄くなるよな。これはこのマイベーベーも望んでないだろ。 マイベーベーは僕においしいスープを飲んでもらいたいはずだ」悩む、糞悩む。僕はこれを『コーンポタージュの逆説的葛藤』と呼んでいる のだが、どうだろうこのような経験は僕だけではないと思う。これと同じような悩みとして、僕は自慰行為にもあると思う。 それはビデオや本などの2次的な媒介によって自慰行為する場合での「このシーンでイッちゃうと気持ちいいだろうな、でもまてよ、後半にはもっといい シーンがあるかもしれないぞぉ〜」という葛藤である。 これを『我慢汁って本当に我慢なんですよ現象』と僕は呼んでいる。方程式でこれをイコール 関係にもっていけると僕は発見してしまった。

『コーンポタージュの逆説的葛藤』=『我慢汁って本当に我慢なんですよ現象』

となるわけである。そして特にこの定義を使う場所もそしてメリットもないことに気づいたことが今日の一番の発見だと思う。 そしてこの文章を書いたことが失敗だったと理解できたことも同じく一番の発見だと思った時、誰か僕を殺してくれと思った。 いつでも殺してくれていいよ。そこに愛があれば・・年の差なんて。キンキン。

2004-12-31

日本で一番の凄腕釣り師がいると聞いて僕は、彼にインタビューするために彼の元を訪れた。彼は特に風貌も変わっていることもなく、 話し方も穏やかで、そこら辺にいる一般人となんら変わらなかった。しかし彼に餌は何を使っているのかを聞いた時彼が人とは一味も二味も 違っていることを思い知った。「釣り方はどのようにしているんですか」「特に変わったことはしていない」「では餌は」 「彼だよ」なんとそこには微笑みの貴公子ペ・ヨンジュンが立っていた。

「彼が餌なんだよ」

釣り師は微笑みの貴公子以上の微笑みを浮かべた。「彼が餌になってくれてからは百発百中だよ。彼の微笑みにやられてどんな獲物も 釣れるんだ。彼は偉大だよ」そうか思いつかなかった。彼を餌にすればすべてが上手く収まるということか。 日韓両国の経済効果も彼のおかげだしな。さすが韓流ブーム。流れに乗ったもん勝ちというわけか。僕は納得してインタビューを終えた。













モドル